【本会協力】東海汽船『東海汽船 130年のあゆみ 1889 – 2020』

本会と株式会社朗文堂は、記念社史『東海汽船 130年のあゆみ 1889 – 2020』の編纂にあたり、わずかばかりの協力をし、本書のご恵送いただきました。ここに本書をご紹介いたします。[参考:株式会社朗文堂

東海汽船 130年のあゆみ 1889 – 2020

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東海汽船 130年のあゆみ 1889 – 2020
A4 版、フルカラー、424ページ、並製本
編集・発行:東海汽船株式会社(東京都港区海岸 1丁目16-1)

明治時代に創業した東海汽船は、度重なる災害や戦争、世界的な経済不振を経て、2019年11月に創立130周年という大きな節目を迎えます。東京諸島と歩んだ130年の軌跡を、主な出来事や船舶と共に振り返ります。
[参考:東海汽船 東海汽船130周年記念サイト

【YouTube:東海汽船130周年のあゆみ(2:50)】

【平野富二と東海汽船】

平野富二は1872年(明治05)年に長崎から上京し、その後多くの事業を手がけました。その造船と輸送に着実に歩みをつづけた功績の一端である、1899年(明治22)からはじまる有限責任東京湾汽船、すなわち現・東海汽船関連の詳細な記録『東海汽船 130年のあゆみ 1889 – 2020』が発表されました。

1889年(明治22)東京湾を運航する4つの海運会社が合併、11月14日に有限責任東京湾汽船会社が誕生し、翌年1890年に株式会社となりました。これがこんにちの東海汽船に連なりました。同社では今なお、毎年11月14日を創立記念日としています。

平野富二は有限責任東京湾汽船の創立以来尽力しましたが、その設立からからまもなく、1892年(明治25)12月3日に脳溢血のため急逝しました。在京わずか20年余、数えて46年と2ヶ月、あまりに惜しいできごとでした。

【平野富二の会 開催イベントにて「江戸湊の碑」訪問】

江戸湊の碑

◉江戸湊の碑:
平野稲木汽船発着所 ⇒ 東京湾汽船会社発着所 跡

所在地:中央区新川2丁目(もと京橋区新松船町 将監河岸)
標示物:公園の一画に「江戸湊の碑」(江戸湾開港の地)〔中央区新川2丁目31-1〕  

対岸の石川島との間の水面は千石船の停泊地で、幕府の御船奉行向井将監(1582-1641)の屋敷があった。亀島川の沿岸には河岸が設けられ、明治になって小型蒸気船の発着場となっていた。

現在は遊歩道となっている河岸から、階段を上がった公園の一角に、船の碇を模したモニュメントと解説板がついた「江戸湊の碑」がある。

なおこのイベントは、平野富二の生誕170年を記念して、2017年11月24日(金)から26日(日)にかけて平野富二の墓所がある谷中霊園に近い日展会館 新館において「メディア・ルネサンス 平野富二 生誕一七〇年祭」の名称で開催されました。

そのプレイベントとして、2017年11月11日(土)に『江戸・東京 活版さるく』(愛称 ブラ富二)と称して、幕末から明治時代にかけての活版印刷および平野富二ゆかりの地を、貸切バスと徒歩で巡るツアーがおこなわれました。

また、このイベントは「メディア・ルネサンス 平野富二 生誕一七〇年祭」における展示および講演会をより深く理解するための先行学習の場となることを目的として開催され、その進行にあたってはタイポグラフィ学会会員(事務局長:春田ゆかり氏)、掃苔会(会長:松尾篤史氏)にもご協力いただきました。

なおその詳細は、『平野号 平野富二生誕の地碑建立の記録』(発行日:2019年5月30日初刷、発行:平野富二の会、発売:株式会社朗文堂)及び『タイポグラフィ学会誌11』をご参照ください。

 

写真:時盛 淳(平野富二の会会員/掃苔会会員/デザイナー)

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「創立130周年のごあいさつ」
東海汽船株式会社 代表取締役社長 山 﨑 潤 一

当社は1889年11月に創業してから、今年で創立130周年を迎えます。この長きに亘り会社が継続して来られたのは、当社の船を利用いただいたお客様をはじめ、株主の皆様、諸先輩方、従業員の皆様、そのほか関係先の皆様の絶大なご支援の賜物であり、心より深く感謝申し上げます。

今後も、これまで培った歴史と伝統、安定基盤を糧に、東京諸島、当社の未来創造に向かって粘り強く邁進していく所存です。今年のスローガン「Revolution 2019」のもとに、独創的で革新的なチャレンジへの取組を加速させてまいります。

まず新しい船の建造です。さるびあ丸に代わる新しい大型船は、約6,200トンとなり、安定した運航とエネルギー効率の向上、また環境負荷の低減やバリアフリーに対応したエコシップとして、来年2020年6月に就航いたします。また、ジェットフォイルは当社所有の4隻のうちの1隻「セブンアイランド虹」の代替として、同じく2020年の7月に就航予定です。ジェットフォイルは国内での建造が実に25年ぶりとなります。この2隻のカラーリング、デザインは、美術家の野老朝雄氏にお願いしております。船のデザインでも注目を集め話題になると共に、2隻の就航が船旅の魅力を更に高め、東京諸島への観光の新たな起爆剤になると確信しております。

また、ここ数年取り組んでおります東京-八丈島航路と東京~神津島航路を大島で結ぶ航路の多様化、東京湾・駿河湾を拠点としたジェットフォイルによる新規航路開拓、プラネタリウムアイランドなど新たな商品企画への取り組みなど、首都圏から抜群のアクセスを誇る、自然あふれる東京諸島を、より多方面から幅広くPRしてまいります。

130年という一つの到達点ではありますが、同時に新たな歴史のスタート地点として、グループ全体で気持ちを新たに、フレッシュな心構えで進んでまいります。
今後も引き続きご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。